東京農業大学第一高等学校・中等部 校長 幸田 諭昭
お早うございます。本校の正門から続く桜並木も満開に近づきましたね。3月1日に第一高等学校の卒業式が行われました。71期生329名が、それぞれの道に巣立っていきました。卒業式直後には高3生の合唱によるパフォーマンスや教職員による3年間の振り返りもあり、とても素晴らしい卒業式となりました。
今年度は、新型コロナ感染症への対策を講じ、工夫を凝らしながらも、学校行事、宿泊行事、部活動も従来の形により近い形でできるようになりました。保護者を入れてのサクラスポーツフェスティバル、クラスマッチ、一般客を入れての桜花祭等の教育活動が展開できるようになりました。また、中等部ではマスクを着用してですが3年ぶりの合唱コンクールを開催しました。中等部3年生にとっては最初で最後の合唱コンでした。その合唱コンでは校歌を全員で合唱し、中等部全体で一体感を感じることができ、改めて行事の大切さを実感しました。翌年度も、農一生の皆さんには工夫を凝らしながらも、学校生活に前向きに取り組んでいただきたいと切に願っています。「向き」、「不向き」ではなく「前向き」にです。そして、以前お話しした通りで、この節目に、来年度の目標をたて、計画を立て、目標を見据えることが大切です。この大きな節目を大切にしてください。
さて、3学期の始業式に次の2点お話をしました。覚えていますか?
1点目は目標についてでした。スモールステップを立て、小さな成功体験が一つずつ積み重ねることで最終目標の実現がより具体的になる。そして、目標が新しい勇気をもたらし、再び強い気持ちにしてくれます。
2点目は俯瞰する力を養うでした。勉強にしろ、委員会活動にしろ、部活動にしろ、その一点だけでなく、全体を関連付けながら体系的に、俯瞰してみること、考えることもが大切であるということです。読書、学習、部活動を例に、お話ししました。忘れてしまい確認をしたい人は、学校のホームページALL NEWSにも掲載されているので確認をしてください。
本日は今学期3点目となりますが、「創造力を養え!」です。教育目標の「夢の創造と実現」にも使われていますよね。皆さんはArtificial Intelligenceという言葉を聞いたことがありますか?そうですね「AI」のことですね。今、「AI」は私たちの生活や仕事に浸透しつつありますよね。人間の暮らしをさらに便利で、快適なものにしてくれる「AI」は、現在はいたるところで活用されています。お掃除ロボット、「AI」搭載の自動車、冷蔵庫の中の食材から献立を提案、音声認識アシスタント機能Siriなどなど。学習を重ねてユーザーの要望ごとにより適切な対応をしてくれています。「AI」がこのまま、進歩していくと世の中はどうなるのでしょうか。皆さんが将来社会で活躍する頃には、「AI」が出した結論に従って、会社でも日常生活でも生活するのでしょうか。今後、SF映画のように、生活すべてが「AI」化されたらと考えると、私だけなのでしょうか、なんか、つまらないし、怖いものがあります。「AI」と共存し、活用しながら生活していくためにどのように対応していけばよいのでしょうか。今現在、「AI」と人との違いは何でしょうか?先日19日(日)に「AI」を既に越えたと言われている、将棋の藤井壮太さんが、史上最年少で6冠を達成しましたね。過去にも「AI」将棋が6億手以上読んでようやく最善と判断する異次元の手を23分で指しました。藤井壮太さんとまではいかないまでも、そこに何かヒントがありそうですね。実は人間の能力は認知能力と非認知能力に分かれています。認知能力は多くの経験を活用し、失敗しないようなやり方を見つけ出す能力です。この「AI」の経験、データを積み重ねていくやり方は、認知能力にあたりますね。そして、今のところ、「AI」は非認知能力の代表であるといわれている創造力の壁を越えられていません。しかし、人間にはその壁を越える力があるのです。「学ぶはまねる」とよく言われ、知識を蓄えることはとても大切です。しかし、大切なのは、知識を活用して、考えて、判断し、表現・行動を繰り返す中で工夫をすることで、創造する力を伸ばすことが大切なのです。勉強、委員会活動、部活動、学校行事などありとあらゆる場面でチャレンジ、練習することで必ず成果はでます。創造する力を伸ばすこと心がけてください。「創造する力」についてはまた、来年度、機会を見つけて皆さんにお話ししていきます。3学期は「目標」、「俯瞰」、「創造」についてお話ししました。
最後に、春休みには,病気や怪我に十分注意をして過ごし,4月6日の始業式に元気に皆さん揃って,会えることを期待して、私の挨拶とします。