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令和7年度1学期始業式挨拶
2025.04.8

東京農業大学第一高等学校・中等部 校長 幸田 諭昭

ソメイヨシノの桜が満開を少し過ぎましたが、正門や中庭の桜が皆さんを迎えることができて、桜がほほ笑む中、新年度を迎えることができました。また、桜並木の正門で皆さんの元気な姿と会えることが出来て、とても嬉しいです!

桜花のもと入学式、始業式が始まりました。3月の修了式には「桜守」のお話をしました。桜守16代目佐野藤右衛門さんのお話しを交えて桜について、お話をしました。覚えているでしょうか?「笑いかけ」についてと、「多くの花は太陽に向かって咲くのに、桜は下を向く。それだけ人を包み込んでいるようだ。」と。桜は本校の校章でもあり、校歌にも、多くの行事の名前にも出てきます。新年度を迎えるにあたって、農一の桜が皆さんを暖かく包み込んでいるようです。今年度1年が皆さんにとって、大きく飛躍する年度となることを願っています。

さて、一つ目は「向き不向きでなく前向きに」です。皆さんは今年度の目標や志を立てると思います。立てるにあたって、一つ話をします。今年1月に、米野球殿堂入りを果たしたイチローさん。選考の投票で満票の選出に一つ足りませんでした。ご存じの方も多いのではないかと思います。日本選手のアメリカ野球殿堂入りは初めてです。一票足りなかったことに、イチロー選手は「やっぱり不完全であるというのはいいなって。不完全だから進もうと出来る」と一票足りないことは僕にとって完璧と笑顔で受け止めていました。そのイチローさんは現役時代から数々のユニークなデザインのTシャツを身につけています。そして、イチローさんが会見で着用していたTシャツには一枚のドアが描かれ、ドアノブが野球ボールのデザインになっていました。この日のデザインについて聞かれると「自分が好きなことを見つけて夢中になれることに飛び込んでいこう、そのドアを開けてみようという意味を込めている」と話していました。皆さんは、それぞれ進級して、新しい年度を迎えます。そのスタート地点に立つに当たって、目標や志(こころざし)を立ててください。その際に向いているとか、向いていないとかではなく、チャレンジ「前向きに」なれることを志・目標にしてください。そして、「能ある鷹はツメを磨く」です。

二つ目は「感謝」についてです。以前、谷川俊太郎さんの有名な詩「ありがとう」を紹介しました。この作品はとても深い詩だと思います。特に、最後の2行、「私 ありがとう」という言葉を、私自身にではなく、「限りない世界に向かって」呟くと。人と人とのつながりを深める大切な感情で、感謝する気持ちはとても大事です。感謝のキャッチボールが幸せのホームランとなるという話もあります。農一の皆さんが、日常の些細なことでも感謝を感じ、互いに感謝のキャッチボールできるようになると、今日の桜のように、小さな感謝で一杯になり、益々、農一は皆さんにとって、素敵な学校になります。昨年度、残念ながら本校でもからかい、誹謗中傷、いじめがありました。感謝の気持ちでいっぱいになると、SNS上での誹謗中傷、いじめなどもなくなるのではないでしょうか。1500名の生徒がいれば、1500名の考え方や意見があります。今年度も、クラスにしろ、部活動にしろ、授業にしろ、目的、目標に向けて意見調整をする場面はあると思います。「共創して、新たなステージへ」進むためにも、配慮のあるミュニケーションの取り方も勉強してください。ちょっとしたことの積み重ねで、学校は大きく変わります。よろしくお願いします。

最後に、今年度、皆さんが、目標を持ち、自分自身の可能性を信じ、大いに学び、自分を大きく、広く、豊かにして、社会で活躍するための礎を、築いてくれることを期待して、私の挨拶とします。