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3学期始業式 校長挨拶
2025.01.8

新年の挨拶

皆さん、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

初めに、昨年は1月1日発生した能登半島地震をはじめとする各地での地震、そして9月を中心に台風や豪雨などによる災害が各地で発生しました。自然災害がとても多い年でした。様々な災害により、多くの方々の貴い命が失われました。心から、ご冥福をお祈りします。また、未だに復興がなかなか進んでいなく困難を抱えている人々のことを案じると同時に、そのような人々のため、復旧活動等に取り組んでいる人達の多いことに頭が下がります。人々がお互いを思いやり、支え合いながら、様々な困難を乗り越えていくことができるよう願っています。心から、お見舞い申し上げます。年頭の初めに各地の復興を祈念するとともに、今年は災害のない穏やかな年となることを祈ります。

それでは、3学期始業式の挨拶をします。冬休み期間中、高校3年生が毎日のように、自習室、ラウンジに登校し、自習や講習にて、目標達成に向けて頑張っている姿がありました。また、部活動に取り組む元気な生徒の姿も多くありました。この冬休みも頑張っている多くの生徒の姿があり感心しました。そして、本日、大きな事故もなく、皆さんの元気に登校してくる姿をみて、無事に3学期を迎えることができ、ホッとしています。

さて、今日は2点お話しします。1点目は年の初めということで今年の夢、目標についての確認です。「1日の計は朝にあり、1年の計は元旦にあり」でしたね。新たな年の初めの節目に目標や目当てを持つことが、その年を充実させるためにはとても重要です。今年、2025年、令和7年は巳年です。蛇は脱皮をすることから、新たな挑戦や変化に前向きになるといわれています。また巳年の巳の漢字のなりたちから、これまで努力してきたことが実を結びはじめる年だともいわれています。農一の皆さんが新たな挑戦に前向きになり、努力が実に結ぶことを願っています。是非、未だ今年の目標を立ててない人は学業、部活動、進路等で目標・夢を持つようにしてください。以前紹介しました夢、目標を持つことの大切さや方法について確認します。渋沢栄一の代表的な名言といえる「夢七訓」もひとつです。また、デカルトの「方法序説」にも「困難は分割せよ」という教えがあります。困難な目標を達成するためにはスモールステップで計画を分割し、コツコツと積み重ねることが大切です。小さな成功体験が一つずつ積み重なって最終目標の実現がより具体的になってきます。

続いて、2点目です。2学期終業式の山極壽一先生の話を通して、デジタル化の波に洗われる現代において「重要なことに気づく感性とそれを応用する知性」が大切であるとお話ししました。社会では中高生でSNS、LINE、X、インターネット、AI等の活用の仕方を間違えて活用している人たちがいます。誹謗中傷、いじめ、不適切な画像・動画の掲載、闇バイト、フェイク、インターネット依存。本校でもその危険性は例外ではありません。思考力、創造力を向上させ重要なことに気づく感性とそれを応用する知性を身に着けるよう努力することが大事であると話しました。

今日は昨年11月に亡くなられた谷川俊太郎さんを通してお話しします。代表作「二十億光年の孤独」やアニメ「鉄腕アトム」の主題歌など、大人から子供まで多くの人に親しまれた詩人であります。また、合唱曲の中でも、聞いたことあるかなと思いますが「春に」、「信じる」、「生きる」、「未来へ」があります。これらの曲は、詩人、翻訳家、絵本作家、脚本家でもありました谷川俊太郎さん作詞したものです。国語の教科書にも「生きる」「朝のリレー」の詩が掲載され、翻訳書では『あしながおじさん』、『スイミー』、『ピーナッツ』など、数多くの翻訳作品もあります。とても、多方面で活躍した人です。その谷川俊太郎さんの有名な詩「ありがとう」があります。

空 ありがとう

今日も私の上にいてくれて

曇っていても分かるよ

宇宙へと青くひろがっているのが

花 ありがとう

今日も咲いていてくれて

明日は散ってしまうかもしれない

でも匂いも色ももう私の一部

お母さん ありがとう

私を生んでくれて

口に出すのは照れくさいから

一度っきりしか言わないけれど

でも誰だろう 何だろう

私に私をくれたのは?

限りない世界に向かって私は呟く

私 ありがとう

この作品はとても深い詩だと思います。特に、最後の2行、「私 ありがとう」という言葉を、私自身にではなく、「限りない世界に向かって」呟くと。また、この詩とは別に谷川俊太郎さんの最後の詩には「感謝の念だけが残る」と書いていたそうです。人と人とのつながりを深める大切な感情で、感謝する気持ちはとても大事です。感謝のキャッチボールが幸せのホームランとなるという話もあります。農一の皆さんが、日常の些細なことでも感謝を感じ、互いに感謝のキャッチボールできるようになると、小さな感謝で一杯になり、益々、農一は皆さんにとって、ますます素敵な学校になります。

感謝の気持ちでいっぱいになると、SNS、LINE、X、インターネット、AI等の活用の仕方を間違えた活用をすることなく、誹謗中傷、いじめ、適切な画像・動画の掲載、フェイクなどもなくなるのではないでしょうか。また、谷川俊太郎さんが「最近、言葉について思うこと」についてのコメントが新聞に掲載されていました。

「インターネットを含めてメディアが増え、言葉の量が過剰になりましたね。自分に必要な言葉を選ぶことが難しくなっているのではないか。知識は大事だけど、そこから知恵が生まれなければ意味がありません。子どもたちには、情報を受けるばかりでなく、実体験を持てと言いたい。親や友達の関係、感動した本や音楽。体験と言葉の情報を突き合わせていくことが、知識を知恵にするためには大切だよ。」と仮想空間だけでなく、実体験が大切ですね。

最後に高校3年生、この冬季休業日期間中も寒い中、登校し目標に向けて取り組んでいる姿を見て、校長としてもとても感心しています。もちろん、学校に登校していなかった生徒達も自宅や、塾等で取り組んでいたことでしょう。学年通信にも書きましたが、ここまで来たら、不安を解消するのは、平常心で、焦ることなく、淡々と、一歩一歩、最後まで計画的にコツコツと積み上げることです。自分を信じることです。応援しています。そして、成果を十分に出すために、感染症対策を含めて、体調管理を徹底してください。

私からの、始業式の挨拶は以上となります。