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令和6年度1学期始業式校長挨拶 

皆さん、お早うございます。新たな年度が始まります。今年度もよろしくお願いします。ソメイヨシノの桜が満開のとなり、春の躍動を感じる今朝、正門等で皆さんの元気な姿と会えて、とても嬉しいです。

東京の開花宣言は去年より約2週間遅く3月29日となりました。桜の花が入学式、始業式に満開になったのは何年ぶりでしょうか。皆さんには桜が入学式というイメージはないと思います。いきものがかりの「SAKURA」の歌詞には卒業が出てきていますよね。他にも桜にまつわる歌では卒業、別れをイメージするものが多いようです。特に、1990年頃以降は年々開花が早くなっています。以前は、桜は入学式の花でもありました。私自身、こういうところにも、地球温暖化を感じます。

さて、本校では桜は校章でもあり、校歌にも出てきます。文化祭の名称「桜花祭」にもなっています。年度の初めですので、この桜にまつわる話をします。桜は菊と並んで日本を代表する花であります。桜はバラ科サクラ属(又はスモモ属)に分類される落葉広葉樹でした。また、花言葉には高貴・純潔・精神美があります。「精神美」は、人の心の純粋さ、美しさを指した言葉ですね。その桜、昔から数多くの人が桜に係る俳句、詩などを残しています。今も、先ほども上げましたいきものがかりの「SAKURA」のように桜にまつわる歌が多くありますね。松尾芭蕉も数多くの句を残しています。

◎「咲き乱す桃の中より初桜」・・・・「初桜」は咲いて間もない桜のこと。爛漫と咲く桃の花の中に初桜を発見したよろこびを句にしたものですね。いかに、桜に対しての想いがあったのか分かります。また、この句から、ソメイヨシノは桃より早く咲くので、ここでの桜は山桜や吉野桜と想像できます。

◎もう一句「年々や桜を肥やす花の塵」・・・・年歳花が咲き、その花びらが根元に落ちて、やがて肥やしとなって木を肥やす。このことによって、見事な花が咲いている。

このように日本では昔から、春の訪れとともに桜の美しさや儚さを通じて、人生の喜びや刹那性を感じることができる心に響く句、詩、歌が数多くあります。そして、「日本人と桜」の始まりは弥生時代まで遡るようです。日本列島で稲作が始まった弥生時代から、桜は穀物の神が宿る樹木として祀られるようになりました。また、桜の開花時期は気温と密接に関係しており、暖かくなると開花を始めます。そのため、桜が満開になる時期を基準にして、稲作を開始していたと推測されています。しかし、お花見といえば奈良時代まではウメだったようです。平安時代に桜のブームが来たようです。その後、江戸時代までお花見の対象だったのはヤマザクラという桜です。ソメイヨシノは明治時代に広まった桜で、エドヒガンとオオシマザクラの種間雑種のサクラで、挿木さしきや接木つぎきなどのクローン増殖したものです。現在は、日本には数多くの桜の名所があり、街中にも見かけることが多いですが、その7割から8割はソメイヨシノです。桜並木の均一化された色彩や、一斉に開花して一斉に散るという特徴もクローンだからこそ生み出せる美しさなのかもしれません。

この古くから愛されてきた日本の象徴、桜は寒い冬を越え咲き誇る圧巻の佇まいは、春の歓びをもたらします。そんな桜の文様は幸先の良い「物事のはじまり」を意味します。「経営の神様」と呼ばれた、パナソニックの創業者の松下幸之助さんが桜を通して次のことを言っています。

「時を待つ心は、春を待つ桜の姿といえよう。静かに春を待つ桜は、一瞬の休みもなく力をたくわえている。たくわえられた力がなければ、時が来ても成就しないであろう。」

時を待つ心は、春を待つ桜の姿である。静かに春を待つ桜は、一瞬の休みもなく力を蓄えている。この蓄えられた力がなければ、時が来ても成就しないであろうと。学習だけでなく、部活動、委員会、趣味なども含めて、目標を立て、失敗を恐れることなく小目標スモールステップで一つ一つ継続して取り組んで、力を蓄え、1年後には桜のように見事な花を咲かせ、大きく成長してください。

本日二つ目は「共創し、新たなステージへ」の確認です。昨年度、学習では卒業生が新2号館のラウンジや1号館の各階にあるワークスペースで共創して学習している姿が多くありました。また、行事も、文化祭、体育祭、合唱祭などの様々な場面で生徒達が共に創(クリエート)している姿がありました。

AIをはじめとする認知能力のように知識を蓄えることはとても大切ですが、混とんとした高度情報化社会、グローバル社会で大切なのは、知識を活用して、考えて、判断し、表現・行動を繰り返す中で工夫をすることで、思考力の先にある創造する力を伸ばすことが大切です。教育理念「知耕実学」をとおして教育目標「夢の創造と実現」を達成するためにスローガン「共創し、新たなステージへ」を実践してみてください。

最後に、皆さんが、今年度、自分自身の可能性を信じ、大いに学び、自分を大きく、広く、豊かにして、社会で活躍するための礎を、築いてくれることを期待して、私の挨拶とします。