プライバシーポリシー お問い合わせ
3学期始業式 校長挨拶

 皆さん、明けましておめでとうございます。何とも切なく、おめでとうという言葉を出しにくい年明けになりました。元旦の能登半島地震においては、本来であれば、新年をお迎えし、家族や友人と正月の様々な行事をして過ごす数多くの方がいらしたと思います。能登地方の震災において、本日の時点で150名以上の大勢の方が亡くなられています。そして、未だに多くの行方不明者もいます。更に、二日には支援物資を運ぶ予定であった航空機事故が発生し、5名の方が亡くなられました。多くの亡くなられた方々に対して、心から哀悼の意を捧げます。
 また、現在も3万人以上の多くの人が寒い中での避難生活をし、さらに、飲料水、トイレを初め物資の不足による苦しい生活を強いられています。被災地に一刻も早く支援物資が届き、一日も早く日常を取り戻すことが出来るよう祈願します。行方不明者の早期発見と被災地の復興を心より願っています。着座のままでかまいませんので黙祷を捧げます。ご協力お願いします。それでは黙祷。・・・・。黙祷をやめてください。ありがとうございました。
 それでは、3学期始業式の挨拶をします。改めまして、本年もよろしくお願いいたします。冬休み期間中、高校3年生が毎日のように、自習室、ラウンジ、教室等に登校し、自習や講習で、目標達成に向けて頑張っている姿がありました。また、部活動に取り組む元気な生徒の姿も多くありました。この冬休みも頑張っている多くの生徒の姿があり、感心しました。そして、今日、大きな事故もなく、皆さんの元気に登校してくる姿をみて、無事に3学期を迎えられ、ホッとしています。
 今年、令和6年は辰年です。辰年は活力旺盛となって、大きく成長し、形が整う年と言われています。農一が昇り龍のように、大きく成長する一年となること願っています。
 さて、今年7月にお札のデザインが変わります。それぞれ、一万円札は福沢諭吉から渋沢栄一へ、五千円札は樋口一葉から津田梅子へ、千円札は野口英世から北里柴三郎へと変わります。本日はこの三名の人となりや言葉に触れながら、皆さんに今年一年、念頭に置いて欲しいことを話します。
 先ず、渋沢栄一は日本資本主義の父と言われています。また、日本だけでなく、世界中の経済に貢献し、国際的な信頼を築いてきました。彼の経済活動は、経済の国際化を推進する一石となり、日本の経済のグローバルな影響力を象徴しています。また、一橋大学の設立に関わるなど教育関係にも携わりました。そのため、彼の肖像を新しい一万円札に採用することで、日本の経済の国際化とグローバルな影響力を表現する意図があるようです。そして、以前紹介しました渋沢栄一の代表的な名言「夢七訓」があります。幸福を得たければまず夢を持つことだ、という内容を表しています。「夢なき者は理想なし、理想なき者は信念なし、信念なき者は計画なし、計画なき者は実行なし、実行なき者は成果なし、成果なき者は幸福なし、ゆえに幸福を求むる者は夢なかるべからず」です。また、「学問は一種の経験であり、経験はまた一種の学問である」とも述べています。渋沢栄一は、江戸幕府最後の将軍徳川慶喜に仕えた幕臣時代に、フランス視察を目的に渡欧しています。渋沢栄一にとって、この経験は人生を変える大きな転換となり、多くのことを学ぶきっかけとなったのです。このとき、渋沢栄一は「経験こそ学問の母」だと悟り、そのあとも日本で多くの経験を積み重ね、生涯学び続けました。経験が一番の学びになると実感したのではないでしょうか。本校で言う「知耕実学」ですね。
 続いて、津田梅子です。明治の教育家で、女子専門教育の先駆者です。日本初の女子留学生として渡米もしています。英語指導や通訳のために、かつての千円札の肖像だった伊藤博文家に滞在したこともあります。また、欧米の学術雑誌に論文が掲載された最初の日本人女性でもあります。現在の津田塾大学の前身、女子英学塾を築きました。 その津田梅子は「何かを始めることはやさしいが、それを継続することは難しい。成功させることはなお難しい。」と話しています。成し遂げることが難しくても挑戦し、継続することが成功の鍵なのです。継続は力なりですね。
 最後は北里柴三郎です。「近代日本医学の父」として知られる微生物学者・教育者です。1889年に破傷風菌の純粋培養に成功、血清療法を開発、さらに、1894年にペスト菌を発見し、「感染症学の巨星」とも呼ばれています。なお、野口英世は柴三郎の研究所に助手として入り、後に野口英世も多くの功績を残しました。北里柴三郎のもとで学んだ経験が活かされていたことでしょう。さて、北里柴三郎は「偉業を成そうと思うなら、その基礎をしっかり固めなさい。」と話しています。基礎がなくては極められない、という意味ですね。医学の道を極め、日本でその先駆者として引っ張ってきた北里の言葉だからこそ強い説得力を持ちます。また、「学問と云うものは全く世界的なもので国境が御座いませぬ。」とも話しています。なお、 座右の銘は「終始一貫」です。
 以上、本日は新しく一万円札、五千円札、千円札の顔となる人の逸話を通して、「夢・目標を持つことの大切さ」「実学教育」「継続することの大切さ」「基礎の大切さ」についてお話ししました。是非、「実学教育」のもと、皆さんが「共創」をして、目標を達成するために今日述べたことを大切にしてください。3名について、更に各自で業績等について調べてみてください。
 最後に高校3年生、この冬季休業日期間中も寒い中、登校し目標に向けて取り組んでいる姿を見て、校長としてもとても感心しています。もちろん、学校に登校していなかった生徒達も自宅や、塾等で取り組んでいたことでしょう。学年通信にも書きましたが、ここまで来たら、不安を解消するのは、平常心で、焦ることなく、淡々と、一歩一歩、最後まで計画的にコツコツと積み上げることです。自分を信じることです。応援しています。そして、成果を十分に出すために、感染症対策を含めて、体調管理を徹底してください。
 私からの、始業式の挨拶は以上となります。